【内容紹介】こころのドーナツ―村上春樹さんと学校の先生: 今がつらい学校の先生を励ます「村上春樹100個の言葉!」【71〜80】
071 エキサイティング
「言うまでもないことですが、世の中には教科書なんかよりずっとエキサイティングで、深い内容を持つ本がいっぱいあります」
僕は読書の時間をよく取っています。
まず読書は「選書」という行為によって、自分で選び、自分で決定するという行動が生まれます。
また、動画や音声と違って、読書は自分で読まなくては「先に進まないメディア」なのです。つまり、根気強さが求められます。
教科書を教えるのはもちろん大事ですが、読書という活動も教育的価値が高いのです。
072 小さいやかんと大きいやかん
「即効性と非即効性の違いは、たとえて言うなら、小さいやかんと大きなやかんの違いです。小さなやかんはすぐにお湯が沸くので便利ですが、すぐに冷めてしまいます。一方大きなやかんはお湯が沸くまでに時間がかかるけれど、いったん沸いたお湯はなかなか冷めません。どちらがより優れているというのではなく、それぞれに用途と持ち味があるということです。上手に使い分けていくことが大事になります」
認知的スキルと非認知的スキルという言葉があります。
認知的スキルはテストの点数で計れる能力で、非認知的スキルは「目標に向かって頑張る力」「人とうまく関わる力」「感情のコントロール」というテストでは計れない能力のことです。
テストの点がなかなか伸びなくても、他人に対してとても優しい子がいます。いろいろな個性を認めてあげたいものです。
073 目的意識
「もっと大事なのは『自分は何のために英語(あるいは特定の外国語)を学ぼうとしているのか』という目的意識です」
よく作文の授業では、「誰に対して書くのか」を意識させることがあります。
また、「全国大会を目指す」という目的意識で取り組んでいる選手は、普段の行動から変わってきます。
よって、先生としては、子どもたちに活動の目的意識をもたせ、いかに火をつけるかがポイントです。
074 教育システム
「ほとんどすべての学科において、この国の教育システムは基本的に、個人の資質を柔軟に伸ばすことをあまり考慮していないんじゃないかと思えてなりません」
画一的な授業から個人の資質を伸ばすのは難しいものです。
とはいえ、先生としては今の教育システム全体を自ら変えていくのは正直厳しいでしょう。
それでも、個性化・個別化の授業を目指している先生もいます。
まだまだ世間から彼らへの評価は厳しいですが、教育システムも変わりつつあります。
075 体育
「学校の体育の授業というのは、人をスポーツ嫌いにさせるために存在しているのではないか、そういう気さえしました」
体育本来の目的は「生涯スポーツ」です。
心と体の健康をずっと維持するために、「運動って楽しい!」「仲間と運動するのって楽しい!」という気持ちを育むことが大切です。
逆に、技のテストや競争のみに特化してしまえば、運動が嫌いになってしまう子もいます。
クラスの実態に沿った内容を考えていきましょう。
076 共同体
「もし人間を『犬的人格』と『猫的人格』に分類するなら、僕はほぼ完全に猫的人格になると思います。『右を向け』と言われたら、つい左を向いてしまう傾向があります。そういうことをしていて、ときどき『悪いな』とは思うんだけど、それが良くも悪くも僕のネイチャーになっています。 そして世の中にはいろんなネイチャーがあっていいはずです。でも僕が経験してきた日本の教育システムは、僕の目には、共同体の役に立つ『犬的人格』をつくることを、ときにはそれを超えて、団体丸ごと目的地まで導かれる『羊的人格』をつくることを目的としているようにさえ見えました」
集団で行動している以上、ルールはどうしても必要になります。
ただ、サッカーでオフサイドのルールがない、道路で赤信号がない、こうなるとみんなが困ると思います。
よって、ルールの本質は「みんなが気持ちよくなるため」だと思います。
みんなのためになるルールをしっかり考え、上手くいかなかったら再度ルールを作り直す、といった柔軟な運用が必要になります。
077 例外
「コンセンサスからいくらか外れたところにいる比較的少数派の「例外」もそれなりに尊重されなくてはなりません。あるいはきちんと視野に収められていなくてはなりません」
教室には先生のところへ抵抗なく寄ってこれる子もいれば、ずっと一人でポツンとしている子もいます。
もちろん、どの先生もその子に声をかけているでしょう。ただ、忙しいときはなかなか声をかけることができないと思います。
ですので、僕はよく全員に「感想」や「日記」を書かせています。そして、時間があればコメントをしてあげます。
そうすると、普段話さない子たちとも文章を通して、会話することができます。
078 効率性
「他人の痛みを『想定』することのない、想像力を失った悪しき効率性です」
世の中に効率化が進むことは、発展の証であり、すべてが悪いわけではないと思います。
しかし、効率を求めるあまりに取り残されたものや、排除されたものはないのか、今一度考えてみることが必要かもしれません。
079 バランス感覚
「この先生の中では『遅刻を許さない』という狭い目的意識が頭の中で異様に特化して膨らんで、世界をバランス良く見る視野が失われています。バランス感覚というのは教育者にとってとても大切な資質であるはずなのですが」
子どもたちのためを思って、ルールやマナーの指導を徹底できる先生は素晴らしいです。なぜならば、「嫌われ役」になる可能性があり、メンタルの弱い僕はそこまでできません。
とはいえ、行き過ぎた指導には気をつけたいものです。
失敗は誰にでもありますので、ある程度の寛容さは大切です。
080 坑道のカナリア
「子供たちは、坑道のカナリアと同じで、そういう濁った空気をいちばん最初に、最も敏感に感じ取る存在であるからです」
僕が先生の不調をとにかく気にするのは、子どもたちのためでもあるからです。
先生というのは、子どもたちが親を除いた一番眼にする「社会人」でして、将来の見本ともなる存在です。
その将来の見本といえる先生がつらい表情をしていたら、子どもたちは将来に希望がもてないのではないでしょうか。
子どもたちの未来のために、先生はいつも元気で笑顔であるべきです。
だから、先生の笑顔を奪うような働き方は、どんどん変えていくべきだと考えています。
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